電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

良いプロモーターはどこにもいないのか?

カール・ゴッチの名言に「プロモーターには2種類ある。悪いプロモーターと……凄く悪いプロモーターだ」というあって、プロモーターは、どうしてもこのイメージから脱出することが出来ない。

最近でも、ネットで見かけたドン・フライの発言で「プロモーターだけがカネを儲けて、選手はいつも泣くだけだ」みたいなのがあって(あくまで、自分が受けた印象で、そんなこと言ってないのかもだが)、まあ、世間的に、そう思われてしまうことはしょうがないのだろう。

しかしだ。現実問題として、総合格闘技で「儲けて」いるプロモーターは、2009年現在の日本には1人もいない。儲けると食えるの境目は微妙で、どこからが儲けるで、どこからが食えるなのかは、実に恣意的な問題だが、さて、興行に専念して、それで生計を立てられている人間が何人いるのかという話だ。一言でプロモーターと言っても、トップからもう少し範囲を拡大して、主催者側に属する人間というところまで考えると、この話はもっと顕著になる。メジャーですら、恐らく興行専業で食えている人が数人ずついる程度で、その下のレベルだったら、限りなくゼロに近い。

では、主催者側の人間は、どうやって食っているのか。その多くは、興行のみでは食えないから、その周辺の仕事をやって生計を立てている場合が多い。わかり易いケースとしては、ジムを経営するとかだ。が、ジムを経営して採算を取ること自体がこれまた大変な仕事であり、へたすりゃそっちも赤字になって悪循環に陥ったりする。例えば、自分は、元プロモーターであり、現在も主催者側の人間であるけれど、勿論、興行で食えたことなど一度もなく、そもそも興行で食うつもりもなく、生計は格闘技と何ら関係ない部分で立てている。

今の日本の総合格闘技のプロモーターには、無能な奴しかいないから、そんな世界になってしまうのだと罵倒することは容易い。が、果たしてそうなのだろうか。多くのプロモーターは、興行で食えていないのに興行を続けている。それはつまり、興行以外で生計を立て、なおかつ興行を支える余力を残しているという一点において、充分優秀な人材である証左なのではないのか。

というような話を、例によって、しばらくダラダラと考えていこうと思う。勿論、選手サイドの話もたっぷりと。