電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

プロモーターは何故興行をやるのか?

そもそも、プロモーターは何故興行をやるのか。

それは勿論ビジネスの為だ。と、果たして本気で言えるのだろうか。少なくとも、自分も元プロモーターの1人であるわけだが、ビジネスの為だなんて思ったことは一度もない。勿論、そうであることが、元プロモーターとしての資質に本質的に欠けるのは確かだとは思う。採算の目処が立たない興行など、やってはイケナイのである。でもさあ、おれの場合は仕方なかったんだよ、ぶつぶつ。

自分の場合は、非常に例外的なケースだと思われるので、まあ細かく語ってもしょうがないんだが、恐らく自分ほど例外的でなくとも、お客さんいっぱい入ってウハウハ大儲けなんて考えて、興行をやっている奴は、現在の日本の総合の世界には一人もいないことは断言出来る。勿論、そういう勘違いの元に、興行をやって、ええーっチケットってこんなに売れないモノか、大赤じゃんと現実に気付き、1回か2回で撤退してしまうプロモーターまがいな人はかつて山ほどいたし、今でもゼロではないんだと思うが。

恐らく一昨年くらいまでなら、こういうことを書くと、嘘つけそんなことないだろう、どっかで儲けているんだろうという勘ぐる奴が必ずいたもんで、否、今も当然いるわけだが、例えば、当たり前のビジネス的な計算をしてみれば、それは当たり前にわかる筈だ。例えば、採算や収支を考えずに、単純な売り上げだけで考えてみる。客単価7千円で1000枚売れる大会(総売上げ700万)があるとする。まあ後楽園で1000枚売れれば、ほぼ満員だし、ディファなら超満員。今時そんなにありません。これを年間6回やるとする。これもまた厳しいが、あくまで仮定の話として。これで、年間総売上げ4千2百万だ。

これがどういう規模かといえば、1日に10万売り上げている飲食店だって、年間総売り上げは、単純計算すれば3千6百万なのだ。つまり格闘技のプロモーションはそういうレベルのビジネスであるということ。当たり前の会社に勤めて、年間数千万の予算を持たされて仕事している人間は、自分くらいの歳になれば、普通にその辺にゴロゴロしていると思う。売上げ4千万なんて、世間から見たら、超弱小企業なのだ。

その規模の興行にしたって、CS系の放映権料とかDVDの売上げとか、色々あるんだろという突っ込みもあるかもしれない。が、放映権料にしても、その変形であるPPV収入にしても、DVDの売上げにしろ、これは、公になっているプロ野球の放映権料から類推してもらって、こんなもんかなと考えた数字を無条件に10分の1にしてもらえれば、当たらずといえども遠からずという感じなんですな。この辺りはさすがに細かいことは書けないが。

しかもだ、多くのプロモーションには、この1大会実券1000枚という数字は、なかなか届かない数字であり。しかもそれが年6回となると、現実的には簡単にクリアできる数字ではない。逆にいえば、この程度のビジネス規模でやっていることなんだから、そりゃ世間に届かないのは当然だよなという話になる。

それでも、何故プロモーターは、興行をやるのか。ここ数年に限ってみれば、総合の興行を始め、そして継続することに成功するプロモーターの多くは、むしろ首都圏以外に多くいるようにみえる(データを取ったわけではないが)。これは簡単にいえば、義務感や責任感が生まれやすいからだとは思う。地元の活性化。地方のジムの選手の出場機会の確保。そういう真っ当な大義が存在するから、小口のスポンサーは、むしろ東京より集めやすいのかもしれない。これはすなわち、「何故興行をやるのか」という答えとも直結する。

やるべきだと思うから、やるのだ。

では、例えば、自分が長年関わっている女子の総合。果たして、ひいひい言いながら、東京で、そして今、やるべきなのか?

まだまだ続く。