電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

前日計量はホントに安全なのか?

昔2ちゃんで書いていた頃、何故スマックは前日計量にしないんだと怒られて、すっとぼけて、「何で前日計量がいいんですかね?」と訊いたことがある。いくつかの回答があったが、主流な意見は「当日計量は危険だから」というモノだった。つまり、ギリギリまで減量してフラフラになり、その状態のままでリングに上がるのは危険だからという意見。

しかし、ホントにそうなのだろうか? そりゃフラフラの選手同士で試合させるのは、危険なのに決まっている。近年では、脱水状態で脳を打たれると、より危険だという臨床的なデータもあるらしい。でも、当日計量後に、そういう状態でリングに上がろうとしているならば、そこでドクターストップすべきであって、それは計量に失敗した選手が失格となるのと同じ感覚で、そうなされるべきなのではないのか。

当たり前に考えて、階級というものが、両選手にとってフェアな状態で試合を行わせることを最優先するものならば、計量は、直前計量であるべきだろう。

いつ、どういう理由で、前日計量という概念が生まれたのかまでは調べてないのだが、これは単に興行上の理由からなのではないか。試合が中止になって、興行が成立しなくなることを防ぐ為のバッファ処置。前日計量であれば多少は無理が利くし、何より当日までは時間がある。最大の理由はここではないのか。

が、レスリング等のアマスポーツでも、前日計量が導入されるケースは増えているようで、それには前述の脱水状態で云々とかいう研究結果が根底にあるのかもしれない。兎にも角にも、選手はよりよい条件で試合をしたがるものであって、当日計量で支障がない程度で減量してくれと、プロモーターの側から要求を出しても、それでも落としたがる。落とせるものなら、下の階級でやりたがる。それほど体重差は試合において有利に働く。勿論、減量が嫌で、落としたがらない選手もある一定の割合で存在するんだが。

自分はスジベキ論でいったら、やはり当日計量であるべきという意見を持つが(実際、未だアマスポーツの多くは当日計量で行われているわけで)、かと言って、時代の趨勢が、前日計量を指向しているのであるからして、自分一人で「いや絶対当日計量であるべき」と強く主張するつもりは、もうない。プロモーター的にも安心といえばいえば安心。前日計量の会場に、メディアを呼び込んで最後の煽りネタ作りとかもやり易いしね。

ところがだ。例えば、ボクシングのJBCは1995年から前日計量を採用した。が、いわゆるリング禍の問題は、それ以降増えているというデータがあるらしい。人伝に聞いた話だから、正確なデータが知りたいなと思いつつ、そこまでは調べてなかったのだが、今ざっくり検索しただけでも、それを肯定するソースはすぐに複数みつかる。つまり、リング禍の増加自体は事実なのだろう。

勿論、前日計量が、このリング禍の問題にどれだけ影響を及ぼしているのかは、わからない。この話、何人もの総合関係者と話したことがあるのだが(ポクシングには知り合いの関係者いなので話したことないのが情けない)、計量タイミング云々より、「日本人はスパーリングをやり過ぎ」という意見が、感覚として多数意見であるように思う。現場の人がそういうなら、そうなのかもしれない。タイではリング禍の問題はほとんどなく、ムエタイではガチなスパーはほとんどやらないからだなんて話も聞いたこともある(事実か否か未確認)。

だとしたら、やっぱり前日計量は安全なのかだろうか。正直わからない。いや、現状では「わからない」と答えるのが、理性的な態度というべきなのではあるまいか。

と、この話も長くなってしまった。また、安全計量にまで辿りつかなかった。多分、もう1回で終わります。いや終わらないかもだが、一応マトメ用のカテゴリーとして、連載タイトルつけました。「階級制においてフェアとは何か?」。