電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

圧倒的な正しさは何やら気恥ずかしい

ジュエルス観戦の為に、新宿に出る必要があったので、ついでに人と会ったり諸々予定を詰め込み、観よう観ようと思って時間が作れなかった、クリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」を観てきた。新宿ピカデリー。いやあシネコンになってて凄いの。「天使と悪魔」のトム・ハンクスの舞台挨拶があるとかで、すんげえ人出。ただでさえ、映画館で映画観ないのに、ましてや休日に映画館に行くなんて、多分10年ぶりくらいなもんで(大体平日の1回目か2回目だ)、最近の自分にとっては、もう異次元空間って感じだった。

かなり早く新宿に出て、ブラブラしてたので、DVD屋とか冷やかしていたんだが、13日に発売された、カート・ヴォネガット原作、ジョージ・ロイ・ヒル監督の奇跡の傑作「スローターハウス5」がどこにも置いてない。同じタイミングで出た「ハリーとトント」みたいな渋い映画は山積みされているのに。「SPA!」の最新号でもレビューが出ていたし、ひょっとしたら売れているのかもしれん。にわかには信じがたい現象だが。

実は、アマゾンで発売日に注文したら、19日発送とかになってしまい、早く観たくて観たくて、売っていれば買ってしまうつもりだったのだ。この映画、旧題は「屠殺場5号」であって、これ関連でDVD化が遅れていたのかと心配していたが、関係ないようでよかったよかった。この映画に関して、観たら色々書くと思うので、数日後に。

で「グラン・トリノ」なんだが、モン族関連とかイーストウッドの役作りとか科白とか、細部を肴にして延々酒でも飲みたくなる映画なんだが、どうも気恥ずかしい。凄くいい映画過ぎて。圧倒的に正しくて。こういう映画を褒めるのは、どうもな。「正しさ」を描く場合、もう少しキッチュ(死語)にしてもらわないと、どうも、おれはダメだ。但し「ミリオンダラーベイビー」とか「硫黄島からの手紙」みたいな曖昧な(それは同時に詩的であるということでもあるんだが)わかり難さはなく、ここ最近のイーストウッド映画と同じく、しっとりじっくり重厚なんだけど、充分分かり易く、にも関わらず詩的さも失ってないので、誰にでもお勧めしやすい傑作ではある。

ジュエルスは超満員で盛り上がっていました。関係者の皆様、お疲れさまでした。