電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

勝手に総括する腕ぽき&ファックポーズ問題

ダイナマイトの腕ぽき&ファックポーズ話題、色々な問題に発展しつつ、語られているけれど、数年前のヌルヌルみたいにある方向のみに叩きが集中せず、結果として盛り上がりの爆発力に欠けるとも言えなくないが、これはこれでいい感じなのではないか。

明らかに、ネットの叩きの発火点が、匿名掲示板である状況が終わったことを示していて。

例えば、ヌルヌル事件の時は、秋山選手と梅木レフリーに叩きは集中したわけだが、自分は当時やっていたブログで、少なくとも梅木さんのことは、かなり積極的に擁護した。グローブ問題などは、2ちゃんなどにも出て行ってやったものだ。自分は2ちゃんで書く場合も、メモ8で書いていたのであり、さすがに「はい工作員ご苦労様」みたいなことはなかったものの、どうせプロモーション側の汚い大人だろ的な扱いは確かにあって、つまり、叩きを煽る側に完封されてしまう構造が、匿名掲示板にははっきりあって、そこには、実名は匿名に勝てない構造があったのだ。

2ちゃん的な匿名掲示板が無くなることはないだろう。が、一旦叩きが始まってしまえば、少数意見は徹底的に無視され、工作員扱いされる構造は、コアなネットユーザー以外からは無視できる範疇に納まるようになるというか、少数意見の浸透力が担保される仕組として、ブログだけではダメだったものが、ツイッターがあることでバランスが取れるという状況が確実に出来ていて。

グリフォンさんがここで書いているが、司馬遼太郎が「うむ日本にもようやく民主主義が根付いた」的な感慨を持ってしまう。

うむ、ネットも言論において、ようやくバランスが取れるようになったか。勿論、それにはツイッターの果たしている役割が大きいのである。ブログより、ツイッターの方が匿名性が低いという、一見不思議な現象が、これをもたらしている。つまり、ツイッターが暴走の抑止力になっていて。

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青木くんのファイト「レフリー(やセコンド)が、折れる前に止めるべき」という意見も散見した。これに関しては、現状のMMAを運営する側の現状と個人としての考えも添え、ツイッターに簡潔にまとめたので、それを転載しておく。

レフリーが止めるべきという指摘もあったので、一応常識的なお答えを。現状、MMAでは間接で見込みは取らないところが多いです。タップしないと折れるからタップするようにとルールミーティングで指導するところも多い。続く。

アマなら取れ、レベル低い場合は取れというのはありだとしても、トッププロは取る必要なしというのが、運営する側の自分の結論です。続く。

複数のレフリーの証言として「見込みを取る」というと選手はタップしなくなりがちで、むしろ「折れるまで止めないよ」と宣言した方がタップは早くなるという傾向があると。ちなみに、柔道はアマだけど見込み取りません。

つまり、折ったこと折れたこと自体は、格闘技として、ルール上まったく問題はなく、現実問題として、実際にそこそこの頻度で、格闘技の現場で起こっている風景であることは、書き添えておく。おれが超苦手なのは、昨日書いた通りなんだが、それは、あくまでおれが見るのが苦手であることと、それを地上波で躊躇なく流すことを問題にしているのであって。

補足することがあるなら、どこまで行けば折れるのか、どこまではギリギリ大丈夫なのかは、個人差もあり、レフリーだってセコンドだって明確にはわからない。その意味からも、レフリー止めろ、セコンド止めろというのは、さすがに無理。見込みで止めれば止めたで、早いだ何だとまた問題になるのであって。だから、自己責任となる。打撃の場合とはケースが違うのだ。だから、現状のMMA、打撃のダメージに関しては、レフリーストップがあるが、関節の場合は止めないというのが、ここ数年の圧倒的多数な現場の判断。ある意味いびつなルールとならざるを得ない。

ちなみに、自分は過去に女子総合において、見込みを推奨してきた側であって(最近はあまり言わない、意見を変えたのだ)、その場合はルールミーティングなどで「見込みというのは、その体勢になってしまったこと、イコール負けということ」と説明する。それを言わないと、また怒る人がいる。どっちにしたって難しい。

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上記を書くことになったのは、ツイッターで、こういう呟きをしたから。

青木のマナーの悪さに言及している人は多いが、腕ぽきっに言及している人が、意外や少ない。ひょっとして、あの腕の折れた(外れた?)瞬間を分からなかった人が多いのか、はたまた、みんなあの程度はグロに見えないのか。

自分にしては、珍しく、1時間くらいの間に10を超えるリプライを頂き、ブログに比較してツイッターの敷居の低さを実感した次第であったのだが、そのリプライを読む限り、実際あれが「折れる瞬間」である事実に気付いていない人、気付いていてもグロと感じない人もいたようで。

いつもブログにコメントをくれる、ふるきちさん(id:fullkichi1964)からは、なるほどなと思える指摘も。

いや、露骨に分かりましたよ。ただ、これはあくまで個人的な感覚でもありますが、腕が折れるのと打撃で白目失神するのとどっちが残酷なのか、迷う自分がいます(^^;)。

そういうことなのかもしれない。打撃によるKOシーン、相当グロテスクな映像が繰返し流されていることに、自分は慣れ過ぎているのかもしれない。が、それにしたって、ほとんどの人は、あの腕ぽきっは、思わず声が出てしまう光景だとは思うが。TBSのあり方については、昨日既に書いた。あれを「時間がなくて、バタバタしていて、意図的ではなくああいう編集になりました」なんて、あり得ないことだというのは追記しておく。この「あり得ない」は、可能性としてあり得ないという意味ではなく、そんなこと言っていい映像じゃないほどの確信的な映像であったという意味だ。

と、ここまで整理しておくと、後は、青木くんの「お行儀の悪さ」の問題くらいか。これは、もう本人が「かっとしてやりました」と言って(いやそうは言ってないけど)、笹原さんが「厳重注意しました」と言っている以上、残ることがあるとするなら、試合の裁定に遡って、イエローを出すなり何なりの処分があるかどうかという話だけで(これはルールにマナー的な規定がある場合あってもいいが、今回のルールよく知らない)、あとは、受け取った人が、どう思うかだけの問題で。

青木選手、プロであり、しかも日本のMMAを代表するトッププロであり、試合以外でした行為が、今後の人気その他にどう跳ね返るのかは、自己責任だ。今回は間違いなく強かった。

同様に、青木にああやって負けた廣田は弱い、実力差あり過ぎ的な意見も、散見したが違うだろと強く言っておきたい。自分が関っている、ケージフォースの元チャンプであり、何より戦極のチャンプであり、弱いわけはない。実際に北岡に勝っているわけで。簡単な話で、青木・マッハ戦を想い出し給え。だから、今回はああなっただけ。勿論、彼もプロなんだから、地上波でああいう試合が流されて、弱いと言われてしまうことは引き受けなければいけない。

加えて、もうひとつ。マネージメント側やプロモーション側が、ああいう青木選手をもっと管理すべきという意見、その逆として、あれわざとやらせているんだろ的な意見もあるかもしれない。

「相手の腕を折って試合後にファックサインを出して来い」なんて指示を出す人間は、存在しない。逆にいえば、勢いでやってしまったあの行為を管理できるわけもないし、その必要もないと考える。格闘技はリアルなんであって、無理して作っても面白くならない。リアルだから上手くいかないこともあれば、リアルであるゆえに奇跡的に美しい物語を生むこともある。