電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

男の中の男

まだ自分が学生の頃、確か、中上健次だったかと思うんだが、吉野家で、牛丼と牛皿を頼んで、牛皿の肉を牛丼に乗せて食うという話を聞いて、勿論、まだ特盛など存在していなかったんだ、何と言う男らしい男、その発想力、実行力、そして何よりそれを支える経済力、どれを取っても文句なしと思ったものだが、考えてみれば、その頃の自分は、貧乏な学生なのであって、その程度のことに驚愕しただけで、今なら別に出来ないことはない。

この歳になってくると、男の中の男とは、並を頼んで「肉だく、飯だくで」と言って、特盛が出て来る男のことなのではないかと思う。飲み屋なんかだと、どこでも馴染みになるのは簡単で、そうすりゃサービスされるのも当たり前で、そんなところでサービスされても偉くも何ともない。吉野家で、拙い日本語を操るアジア系のお姉ちゃんとか、ニキビ面のお兄ちゃんに、人間力だけで、「肉だく、飯だく」と注文し、それを通してしまう男。それが男の中の男だ。

カネをケチっているわけではない。それが通れば、特盛の値段の倍くらいのチップを包むのが男の中の男というべきだろう。

勿論、自分は、西荻吉野家で、「並を、肉だく飯だくで」と頼んで、特盛が出てくる男なのはいうまでもない。……と書くと、昨日向きのネタになってしまうな、第一、そんな貧乏臭いことするわけないだろ!