電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

たまには格闘技の話をしよう

たまには格闘技の話をしよう。「K-1 MAX」に石井慧選手が参戦し、直前に対戦相手が変更になり、柴田勝頼選手と試合を行い勝利した。色々な問題が垣間見えた試合。悪い意味で、語りようがある試合だとも言える。大まかに分類すると、下記の三点に分けられるか。

1)石井慧が「K-1 MAX」に出場すること自体の問題。
2)直前の対戦相手の変更と安全問題。
3)石井慧の試合前後の発言と試合内容。

と問題を列挙した上で、当たり前に解釈したりしても、ちっとも面白くないので、多少大胆なことを考えてみる。

1)の出場すること自体の問題を、自分が知って、まず考えたのは「そうかDREAM.16のファイトマネーは払われたんだな」ということ。初出場の選手が最初の試合のファイトマネーをもらえてないのに、次戦に出場するのは考え難いと咄嗟に思ったわけ。ところが更に考えてみると、前戦の「DREAM.16」は9月末であり、支払い期限が翌々月末なんて契約であれば(世間一般常識からして、充分有り得る範囲)、それが単に来ていないという可能性もあって、だったら既に払われたとは限らないなと考え直す。

というような思考経路を辿ってしまう事が既に関係者病であり、本来考えるべきは、何で「K-1 MAX」に重量級の石井なんだという話であるわけだが、端的に言ってしまえば、それも止む無しという感じでもある。結果としては、今日になって視聴率が出てみれば(平均視聴率は7%台)、「K-1 MAX」を「K-1 MAX」でなくしてまで石井慧を出すほどのバリューはないということがハッキリしてしまったとも言え、逆に言えば、もしここで15%とかの数字が出ていれば、それは石井がそれだけの価値があるということでもあったわけで、それを試すこと自体が、悪であるというまでの考えを自分は持たない。勿論、その茶番度、危険度は対戦相手次第であるとも言え。

なので、2)の対戦相手の変更について。

【K-1MAX】11・8石井慧の相手が急遽変更!プロレスラー柴田勝頼との対戦に

谷川EPは「10人くらいの選手に連絡して、4〜5人からOKをもらっていました。最終的には僕が良いと判断した柴田選手にお願いしました。桜庭(和志)選手にも連絡はしたんですけどね」と対戦決定までの経緯を説明した。

上記以外の噂レベルも含め、ネットで上がっている情報を追ってみると、当初の対戦予定のナンセンが本当に入国していたのすらよくわからない。勿論、真っ当に試合を組んで真っ当に開催しようとしていても、こういうこと(体調モロモロでドクターストップ)が発生することは有り得る。

当初の対戦相手であったナンセン選手が対戦相手として相応しいのかといえば、微妙なところであるものの、経費その他諸々の条件を考え、まあこれまた止む無しというレベルではあるとは思う。石井慧自体が、まだ総合のファイターとしては、実績不足であるのも確かで釣り合っているとも言えなくない。問題があるとするならば、石井選手のような柔道上がりの選手の対戦相手として、打撃系の選手というのは、危ないといえば危ないのは事実(受身の習熟度のことを言っている)。かと言って、ナンセンは、泉選手・エンセン井上選手と、既に総合の実績を積んでいるとも言えて、これを危ないと言ってしまうと、もっと危ないケースは現実的には山ほどあるわけだ。

では最終的に対戦相手となった柴田選手はどうだろう。問題があるとすれば、まずは体重差。が、これもミノワマンとまでは行かないまでも、プロの試合として求められてきたことであり、今回ばかりが特に問題が大きいとは思えない。

最大の問題は、10月末のDEEPのJCB大会で、柴田選手がパウンドアウトで負けていることであり、通常であれば、2週間という間隔での試合は、安全問題から言って有り得ない。更に言えば、上記の谷川さんのコメントを読む限り、谷川さんには、この試合間隔と脳へのダメージの問題など、考慮のうちに入ってすらいないように見える(逆に言えば、中途半端に言えば問題を大きくしてしまうので、何も言わないとも読める)。

少なくとも、この問題における自分の判断は、これをやってしまったら、他への発言権は失うということであり、つまりFEGには、それこそ安全問題など何も考えていない可能性もある地下系・不良系大会(ちゃんとしている大会もあるだろうから、こういう表現にしておく)への発言権すら失うということであり、自分としては、せめて安全問題くらいは、メジャーに主導してもらって、業界全体で一致できないかというイメージを、かつて持っていたわけだが、メジャーが率先しておかしなことをやっているんだから、そりゃ無理だというのが現時点での自分の結論になってしまう。

一番危険なのは、「今格闘技の業界自体が沈んでいるから、この位のことは許されるだろう」という発想。格闘技の世界、確かに危機的状況ではあるものの、ここで安全問題を有耶無耶にしてしまったら、それはさらに地盤沈下を招くだけということは記しておく。勿論、では、関係者として非力な自分に何が出来るんだという話になったら、はなはだ心許ないのが悔しいところだ。

長々とこの話を書いてしまったので、3)の石井慧の発言問題を書く余力を失った。ファンだけではなく、マスコミ・関係者にすら見放されつつあるようにみえる石井慧、ひとつだけ間違いなくわかることは、力あるところがマネージメントしようが、選手の発言をコントロールすることは不可能ということだろう。それが今の石井慧のリアル。勿論、ここまで黒く染められつつあるからこそ、結果が出れば、オセロのように一気に黒が白にひっくり返る未来も有り得るわけだが、それを意図的に狙っているとは、とても思えない。