格闘技団体は暴力装置？
仙谷由人官房長官の「自衛隊は暴力装置」発言、延々ツイッターでやったんだが、こちらにもマトメておく。
まず「暴力装置」という言葉は散々使われてきた術語だ。これを使うことが何故問題なのか。個人的な認識としては、勿論自衛隊は暴力装置以外の何物でもないが、自分の個人的見解を書いてもまったく意味ないので、整理すれば、以下の２点が問題となる。
１）その語感が自衛官に失礼
２）内閣法制局の自衛隊の定義は軍隊ではなく「実力組織」であり、これの定義（つまり政府見解）に反する
当初の報道から１）の観点で暴走し、暴力装置なんて言ったら自衛官さん可哀想と言葉狩りの様相を呈していて、実際、自衛隊出身の好感度だけで当選したような議員の先生が「血管きれた」とかインタビューで言ってて、あまりのレベルの低さにうんざりしてしまうのだが、この辺りは国会とは何を行う場なのかという話だと思う。国会とは専門的な議論を行う場であり、そこで術語を語感だけで否定されたらたまったもんじゃない。
ネットで出ている意見をざっくりさらってみると、術語だから使用問題なしという擁護意見はかなり出ているものの、みんなの党の渡辺喜美のように「左翼のDNAがみえた」的な、つまり「暴力装置」なんて左翼のアジ用語だと看做しての、レベルの低いレッテル貼りが、いわゆるネトウヨ層から多くなされているように感じるが、それは根本的にレッテル貼りでしかなく、そういう発言をする人はそれ以外の発言も似たレベルの発言と括られてること位は理解しておいた方がいいね。全共闘あがりで社会党から政治キャリアをスタートさせている仙谷由人にお前左翼だろって、そりゃお前ヒラタだろと同じレベルのギャグにしか思えない。
そういうレッテル貼りでいけば、仙谷由人、ウィキペディアを見る限りでは新自由主義者であるらしく、てめえ仙谷、左翼上がりの癖に右翼になったのか、そっちの方がよっぽど問題だろという話なんだが、違う方向に暴走しそうなので、閑話休題。
実はどう考えても、問題は２）の話である筈なのにその指摘は少ない。自分もツイッターで指摘されるまで気がつかなかった。実際の審議の映像をみてみると、その時点で仙谷さん「自衛隊は軍事組織」と発言していて（既に紛糾していて、少し聞き取り難い）、本来こちらの方が問題となるべき筈だ。日経によれば、その後の記者会見でも同種の発言をしている。
仙谷官房長官「自衛隊は実質上、軍事組織」 暴力装置発言に ハードコピーはこちら。
「装備や人員構成などから見て、自衛隊は実質上、軍事組織であることは間違いない」との考えを示した。
こちらの方が上記２）の件により、大問題である筈なんだが、私見ではいい大問題。そもそも自衛隊を軍隊とは正式に認めてない、その誤魔化しって何なのという話だ。政治的言辞の最たるモノで。戦車じゃないよ特車だよ的な。自衛隊を合憲とする論理には色々あるが、未だ日本国はこういう政治的言辞で誤魔化すという方向でやっていたんだということを、今となって思い出させてくれたというか。
また派生議論として、「暴力」という言葉自体の意味について。これも既にツイッターで呟いた。
「暴力」の定義を調べてみると、ブリタニカ国際大百科では、政治学的には合法・違法にかかわらず物理的な強制力をそう言い、法学的には不当なそれのみを暴力とすると。国語辞典では合法のモノまで暴力とするかはマチマチ。この辺りで既に認識の違いがある。
実際の映像をみても、仙谷さん政治学的な文脈と法学的な文脈を使い分けて云々と発言していて、つまり上記の意味をちゃんと把握していることは明らか。その位はわかって突っ込まないと突っ込む方が恥かくたけだと思うんだが、実際はそうなってないのが歯がゆい。小泉の息子なんて「暴力組織」と聞き間違えていた。つまり「暴力装置」という言葉すら知らないわけだね。まあ、そんなもんだ。
で、オチは相変わらずマスコミはホントもうダメだという結論になってしまう。佐々木俊尚さんはこう呟いていた。
http://twitter.com/#!/sasakitoshinao/status/5161010981773312
もちろん自衛隊がウェーバー的な意味での「暴力装置」であるかどうかは議論すべき点であるし、過去にも議論されているけれど、だったらそこまで踏み込んで仙谷発言についてメディアは論考すべきだと思う。あの報道じゃ「暴力って言った！」「暴力っていま言った！」って騒いでるだけにしか見えない。
まったくその通りであって、もうお話にならんよまったく。
で、タイトルの件。自分の語彙だと「暴力」という言葉は明らかに合法なものも含むものであって、そう発言する人がいても「選手・関係者に失礼だ」とか絶対言う気もないし、失礼だと思わない。自分も使うかもしれない。楽しいもん、暴力装置。11月28日にディファ有明でやるのとか特に。
