電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

坂の下のドブ川2

坂の上の雲」第2部2回目(通し7回目)。やっぱり何か書きたくなる。

前回で第1部と何か感触が違うと書いたんだが、とりあえずの結論を得る。絵の奥行きが1部よりない。壮大なオープンセットやロケは第1部と変わらないものの、いやむしろ凄いセットを組んでいるからこそ、それを見せようとして奥行きを失っている。

例えば、今回でいえば、真之が先生を始める戦術学校で、最初の挨拶を行うシーン。いくつもある欧米風(というよりむしろ中国の宮廷のような)の扉が開けられていく。カメラを引いていって、遠近法を生かして斜めから撮って、建物の壮大さは伝わるんだが、第1部で、自分がこれは凄いの思ったのは、例えばその開け放たれた扉の向こうに映り込む背景の作りこみだったような気がするんだな。それが奥行きとなる。例えばこのシーンだったら、ちらっと緑が映るだけ。この建物自体がオープンセットであるわけではないだろうし、現存する建物を最大限に生かしたロケなんだろう、それは分かるんだが、このシーンに象徴されるようにカメラの移動と背景の作り込みで奥行きを見せられてないと思う。

天津のシーンのオープンセットの凄さとか考えると、これ以上を望んだら可哀想かなという気もするんだが、第1部には、そのオープンセットを作ったモノ以上に見せる絵作りがあったが、第2部に入ってそういうシーンがなくなっている。真之がお母さんをおぶって坂を上がるところなんか、もっと背景の街とか花火とか、作りこんで、初めて第1部並みな気がする。予算が尽きているか、SFXの絵作りがかみ合ってない感じ。

まあ、今回は正岡子規の死がメインで、予想通りあんまりピンと来なかったけど、柄本明の乃木大将が早めに出てきて、期待通り面白かったので、期待は先には繋がった。なんつーか、渡哲也の東郷平八郎は、もう見えるというか、こういう演技してこうなってというのが、最初から予想が出来るんだよな。が、柄本明は、こう来るだろというのを超えてくる(さすがに毎回じゃないけど)。だから天才だと思う。そうそう、おっ蛍雪次郎だと思ったら、小さい役だった。残念。

自分はいわゆる新人類世代、オタク第一世代であり、そのような時代人としての体質で、坂の下に汚いドブ川が見えたら、その暗さに引かれて坂の上から自転車で真っ逆さまに駆け下っていくであろう。と、また書いてしまったが、繰り返し書くほど面白いパロディーじゃないね、これ(苦笑)。