電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

私学の文科中退がどこまで計算出来るかな?

いよいよ政府が、エネルギー政策の転換を示唆し始めた。原子力行政の見直し自体には、まだ、すごーく慎重な言い回しだけど、そりゃ党内の調整も終わってないだろうから、そこはしょうがない。それでも、奇跡が起こる可能性が確実に出てきた。勿論、これやらないと、今の民主党政権は、心底、死に体であり、だからこそ期待が出来るというか。

さて、「私学の文科中退が代替エネルギーを作りました」に、ツイッターで下記の指摘を頂いた。ありがとうございます。

太陽光発電原子力発電所のコスト比較をするならkWあたりの設置/建設コストにプラスして太陽光発電の年間発電量を勘案しないと計算合わないような。設置コストで2〜3倍×日照時間考えて効率8〜9倍×期待寿命で2〜3倍として、32〜81倍の発電コストでは。

原発の時間稼働率80%として、365*24*0.8=7008kWh/kW。ソースによると太陽光発電は平均値で年間1000kWh/kWですから、7倍ぐらいかもしれません。

設置コスト自体は前エントリーで書いたように、3倍までは開いてない事は確かだし、仮に国策にさえなれば、さらに縮まっていくと思う。

で、効率コスト。まずはこれもそんなに開かないと考える。ちょっと具体的に。勿論、素人考えだがね。

太陽光の方は、頂いたツイートには、ソースもあって、それを見る限り、日照時間の関係で、表示KWに対して、年間で見てみると、1000KW前後しか発電出来ないというが現状らしい。机上の計算値だと「1x24x365=8760」で9000KW弱を発電出来るところが、実際はそうであるという事で、発電効率は10%強。

【後記20110403】元々KWという単位は時間あたりの単位であり、一方、上記の「1000KW」「9000KW」はエネルギー量を表しているので時間をかけ戻して、「1000KWh」「9000KWh」(KWh=キロワット時)となるのが正しいと指摘を受けて理解(詳細コメント欄)。

一方、原発の方はどうか。原子力発電機の定期検査は、12ヶ月動かして3ヶ月の検査(半年近くになる場合もある)だったのものが、近年は、連続運転を24ヶ月に延長したらしい(ここからして危険)。具体的なデータは取れないが、検査が3ヶ月で済んだと仮定すると、稼働率は、前者で80%、後者の無謀運転で90%弱。なので、上記指摘の80%という数字は、かなりいい線であるとは思う。

日本の原発は55基ある。そのうち、今回大問題になっている福島第1は6基。

ところが、柏崎刈羽は7基が2007年7月の中越沖地震で全部止まり、そのうち既に4つが動いているが、最短で2年強の停止期間があり、動いてない3機は、既に停止期間は4年以上になる事が決定。今回で、女川の3基、福島第2の4基、東海第2の1基も現在止まっていて、さて、いつ再開されるやら。

福島第1の6基は廃炉ほぼ決定だし、柏崎刈羽で最短2年止まったなら、明らかにそれ以上のダメージを受けている福島第2は、世論の反対等がなくとも、最低3年くらいは止まりそう。

つまり、55という母数を見る限り、事故による停止は、原発にとって例外でなく、この歩留まりを、発電効率に考慮するのは必須と考える。事故による停止は当然、運転率に考慮すべき。そうすると、原発の耐用年数を何年と考えるかによっても違ってくるが、稼働率80%はまったく到達していなく。いって60%程度なのではあるまいか。柏崎刈羽と福島第1・第2を抱える東電限定で考えたら、へたしたら、40%とか、30%以下なんて可能性すら考えられる。

ということで、発電効率は、現時点でも、原子力の方が8〜9倍という事はない。5倍程度、甘めに見積もって6倍程度かなというところ。但し、繰り返すが東電限定で考えたら、3倍とかになってしまうだろう。

さて、運転コスト、保守コストはどうか。太陽光は通常20年くらいの耐用年数で、これは運用・保守コストがほぼゼロベースでの耐用で、ところが実際は20年持たせようとしたら、色々故障があって結構かかってしまうらしい。ただ、これ、そもそもが電力会社から電気買うのと、太陽光パネル自宅につけるのと、どっちが安いかベースで考えるのが、家庭用太陽光の基本で、つまり、元々燃料代は、一銭もかからないもーんというのを前提で考えるから、高い印象が残ってしまうというだけで。

一方、原発の耐用年数40年のというは、定期検査しまくりで保守コストかけまくりを前提とした上での40年だ。

太陽光の耐用20年と原発の耐用40年、これを一律に比較して、太陽光が2倍かかるとは、ちょっと暴論だと思うが、如何だろう。

さらに、原発、燃料コストはあまり語られる事はないが当然かかっているわけだ。ウラン濃縮の面倒くささ。実際的には火力と大差ないという試算もみつけた。加えて、保守コスト。何をどこまで計算するのかによって、数字はまったく変わってくるが、少なくとも今回の福島第一に掛かったコストを勘案したら、原発ほど保守コストが高い発電システムは他に存在しないのは、もう言うまでもないと思うが、どうだろう。

少なくとも、家庭の太陽光の保守に、米軍やハイパーレスキュー呼んでくる必要はまったくないわけで(これ今回の諸々を誰かコスト計算してみて欲しいわ)。ましてや、これからとんでもない額になるだろう、住民への保障を考えたら、きゃあ大変(元々、原発は設置時に保障コストが既に発生しているのに無視されているという指摘も散見する)。

以上により、トータルコストで考えて、ソーラーが原発の30〜80倍なんて事はまったくないと思う。設置コストは2倍(これはすぐにもっと縮まっていくだろう)、効率コストで5倍、あわせて10倍まではいいとしても、運用コストは圧倒的にソーラーの方が上(だって基本ゼロだもん)、保守コストも間違いなくソーラーの方が上なんじゃないのかね。そうすると、トータルコストで考えると、設置コストと効率コストで開いた10倍は、今度は縮まっていく筈で。

既に、今あるすべての発電方法の中で、原子力は保守コスト番長というか、最悪であって。廃炉後のお守りコストもかかるし、ほれほれ、使用済み燃料の問題もあるぞ。さらには、保安院のあのヅラ親父の給料だって、原発の保守コストなんであってさ。それ考えると、原発タケエよというより、何か悲しくない? 保安院は頭皮を隠蔽している! おれは悲しい。