村上春樹のアレと童貞性
例の村上春樹のスペイン・バルセロナでのアレだけど、イスラエルの演説の時は、文学者らしいカッコいい事を言うよねえと好意的に受け止めたものの(「村上春樹が、吉行淳之介のおっぱいタッチテクが凄いことを褒めていた件」)、今回のアレはあんまり面白くないと思う。何で面白くないと思うかといえば、おれが3月中には書いていたような内容が、文学的な表現もさほど捻られてないまま語られているだけだからだ。
ただ「我々が加害者である」という自覚はより多くの人が持つべきたと思うし、「我々は夢を見ることを恐れてはなりません」という結びは、「放って置いても人は死ぬし、女と寝る」とか書いていた昔の村上春樹からすると、イスラエルの「壁と卵」に到達しても尚、更に破壊的なまでに前向きで、何だか胸がざわめいてしまう。
初めて「人は放って置いても女と寝る」というフレーズを読んだ頃、おれは童貞だったので、この言葉に激しく違和感を覚え、その後も、おれは少なくとも、放って置かれたら女とは寝ないと思い続け、すっかり童貞に戻ってしまった今もそう思っているものの、それでも、時たま少し臆病になったりするけれど、夢を見ることを恐れてはいない。