電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

再び新珠三千代のエロさを語ろう

山下敦弘の「マイ・バック・ページ」を平日の朝から新宿で観た。自分はそれなりに映画は観るものの、あまり映画館に行かない。実は今年初めてである。つまり、それだけの期待感を山下敦弘という監督に持っているという事で。

結論としては、まあ微妙だ。やや冗長に感じた(おしっこを我慢していたので余計そう感じたというのもある)。そうでなくとも「センチメントに過ぎる」と思う(劇中、主人公の妻夫木聡が言われる科白)。80年代に、あの時代(70年前後)を振り返って作られた作品群みたいな甘酸っぱさがある(まあ原作がそういう作品なんだろうが)。それを今やる事にどれだけの意味があるのかと考え込んでしまう。わさわざ16ミリで撮って画像荒くしてまで。

それにしたって、妻夫木くんはイケメン過ぎて損しているのではないか。少なくとも本格派の役者としては。上手いんである。上手いのにあまりに端正な顔立ち過ぎてやや説得力を欠く気がする。舞台上がりとかインディー系の味のある役者が揃っているからこそ、とにかく顔立ちの端正さが突出してしまって演技が目立たないという感じで。

イケメンといえば、三浦友和が1シーンだけ出てきて、場を凍りつかせるような演技をする。どこまでいい役者になっていくんだというくらい。けれど、実は、三浦友和って昔から上手かったのではないか。やはりイケメン過ぎて目立たなかっただけなのではないか。そんな事を妻夫木くんの演技に思うのであった。

「汁刑事(しるデカと読むのだ笑)」の山本剛史が、ドンピシャな役で出てきて大喜びとか、山本剛史以上に常連な山本浩司が出ている筈なんだが、どこに出ているのか気付かなかったとか、山下敦弘ファンならではの楽しみがたっぷりあるのは別にしても、充分、次もそれなりにメジャーな作品を撮れる程度の出来のよさではあると思うし、次も楽しみに待ちたいとも思う。けれど「お勧め映画」と言えるかというと、かなり迷う出来でもある。

それでも、やはり入れる事にしたのは、また、新珠三千代が出てきたのである(前に出できた新珠三千代に関しては「今こそ新珠三千代のエロさを語ろう」参照)。川本三郎の原作を読んでないので、そのシーンにどれだけ必然性があるのかよくわからないが、少なくとも劇中色々と語られるアメリカン・ニューシネマでよかった筈のシーンなのだ。なのに、何故か川島雄三新珠三千代なのである。さすが山下敦弘、生意気なまでに女優を観る目があるという感じであって、出てくる女優、みんな自分は知らない若手ばかりなのに、どの子もぐっと来る演技をする。女騙すの上手そうだよな、モテるんだろうな、監督ってそうでなくちゃなと感心するあまりに、お勧め映画にしてしまうのであった。