電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

リアルなファンタジー

映画を録画して保存して、ちっとも観ないのは最近延々書いているが、たまには観てる映画もあるんだぜという事で、お勧めを2本。共にJ:COMを復活させたからこそ、たまたま観た映画。

1本目は「最高の人生の見つけ方」。共に末期ガンを宣告されたジャック・ニコルソンモーガン・フリーマンが、棺桶に入る前に実現しておきたいリスト(これが原題の「The Bucket List」)を作成し、その実現に旅に出るという話。役者がこの2人で、監督はロブ・ライナーとくれば、安心の1本。いわゆるハートウォーミングな話なんだが、ひねりも充分あって、それがまたピリリと辛くて、しみじみ人生を考えさせてくれる。

もう1本は「ローラーガールズ・ダイアリー」。ドリュー・バリモアの初監督作品で、「インセプション」のエレン・ペイジを主役に、田舎のマジメ少女がふとしたキッカケで知ったローラーゲームにのめり込み、やる側に回ってしまい、恋に試合に大奮闘する爽やかな青春モノ。青春モノに欠かせない音楽や小物、カット割に、初監督のバリモアのセンス(なのかイマイチ判断しきれないのだけど)が冴え渡り、堪らない出来になってる。バリモア自身もワキで出ていて、定番の蓮っ葉な役をやっていて、どう見ても典型的で根っから蓮っ葉で頭悪そうなんだが、外見だけじゃ人は判断出来ないという話だよね。

で、何でこの2本を並べたかと言えば、ファンタジーなんだよねえ。勿論、SF的だったりオカルティックだったりのファンタジーな設定はなく、つまり前提としては徹底的にリアルなんだが、絶対あり得ないでしょな設定のわけだ。「最高の人生の見つけ方」であれば、ジャック・ニコルソンが信じられないほどの大金持ちで、リストにあがった項目を経済力に飽かせて片っ端から実現させていくし、「ローラーガールズ・ダイアリー」であれば、対象スポーツのローラーゲーム自体がガチ前提で描かれていて、いや自分はローラーゲーム業界(?)に詳しくないので確信はないのだが、あれをガチ前提で(つまり普通の競技スポーツとして)描く事自体がもう最高のファンタジーだろう。

勿論、ドラマなんてみんなそうだとも言える。リアル風にみえても実際にはあり得ない事を描くからこそドラマ。それはそうなのだ。ところが、SF的だったりオカルティックだったりの設定は、それだけで見ない、見ても説得力がないという人が多くいるのも事実で、そういう人にとってファンタジーとはまさにこういう事で。この2作、そのファンタジーな設定がよく効いているんだな。だから出来がいい。共に超お勧め。