電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

チェキ! ゲバラ!

如何に映画館で映画を見てないかという話なんだが、今年に入って映画館で見た映画はまだ2本。2月に入ってから「チェ 28歳の革命」「チェ 39歳別れの手紙」を見ただけだという。やっぱり革命家の映画は見ておかないと。

スティーブン・ソダーバーグという監督は、あんまり自分の心の琴線に響かないというか、センスが合わないとしか言い様がない作品が多いんだが、不思議なもんで、そういう癖のある人の方が見たくなることも確かで。例えば邦画だとクドカン、脚本作品も監督作品も、まったくセンスが合わない(というか、あの一派壊滅的に合わない)ものの、「少年メリケンサック」は見たいと思う(多分じきに見る)。

「28歳の革命」は面白かった。ゲバラがカッコよくて。すんげえ強くてスーパーマンなの。「39歳別れの手紙」はつまんなかった。グダグダで。ゲバラ弱いし。やられてばっかで。

この2本、あまりゴテゴテいじってなく、ストレートにゲバラの生涯を描いているんだが、それでも「28歳」の方は、時系列的に3つの時間を再構成してて、その効果が出てた。一方「39歳」の方は「39歳」のみをグタグタと描いていて、それがグダグダであることに意味はあるかと言われると、やや厳しいところがあり、もう少し対比して欲しかったな。例えば、バハマでランチ食ってるカストロと(いう象徴的な科白がある)。

結論として、2本合わせて「ゲバラはカッコいいよなあ」という感想しか残らない。理想主義者のゲバラが全然通用しない「39歳」こそが、この2本の映画のキモなんだが、それが全然伝わらないというか、別にどうでもいいじゃん的な。ちなみに、キューバの21世紀における現実だとか、ゲバラは極端な計画経済論者であって、それがキューバ政府からの離脱に繋がったとか、そういうことは、あまり気にしてません。なんつーか、映画ってそういうことを描くもんじゃないし、この映画でその辺りはまったく気にしてないことも悪いと思わないし。まあ上手く描けるなら、描いてもいいんだが。

自分が若い頃、「ゲバラってカッコいいわよねー、革命家なのに喘息なのよ」と言った女の子がいて、その時はそういうもんかと思って「革命家なのにチビでデブじゃダメかなあ」と考えた、ああされど我らが日々なものの、それから30年近く経って、同じことをわざわざ2本の映画にされてもな、という気がする。あと、ベニチオ・デル・トロより、残された本人の写真の方が、明らかにカッコいいのが、最大の問題。

やっぱり「OK牧場の決斗」は傑作であっても、アープの実人生を忠実に描いたとされる、ケビン・コスナーの「ワイアット・アープ」は単なるクソ映画なんだよね。史実を丁寧に描いて成功した、映画・ドラマはあんまりない。

史実なんて話のツマの、NHK大河ドラマ万歳! ……そう落とすか、おれ。