「少年メリケンサック」にはパンクがない
今週は外出することが多く、合間の時間を埋めるついでに「少年メリケンサック」を観てきた。
充分、面白いと思います。やはり、宮崎あおいは天才的に上手い。佐藤浩市は、昔からずっと上手い。最初からテンション高いまま、突っ走り、そこそこ笑えます。いや、爆笑したシーンが何箇所も。
けれど、この映画には、おれのパンクがねえな。
登場人物の中で、一番パンクなのは、明らかに、宮崎あおい(と、そのお父ちゃん)で。音楽としての形式は、明らかにパンクな音楽を演奏し続ける「少年メリンケンサック」のメンバーから、パンクな逸話が全然こぼれてこない。以下、この映画で、おれがパンクを感じた数少ないシーンを列挙する(ネタバレ注意)。
・「ちんこデカいんだろ、ちんこ」という科白を執拗に繰り返す、佐藤浩市。
・DMCのパロディーみたいな彼氏に振られた宮崎あおいを車中で囲んで、その彼氏の歌を、バンド全員で、うれしそうに合唱して嫌がらせするシーン。
・田口トモロヲが素に返るシーン。
・何の為に出てきたかわからない中村敦夫。
・ピエール瀧の鼻の曲がり具合。
後はどこにもパンクがねえよ。単にダメ親父であるだけでは、パンクにならない。
しかし、クドカンって人は、ホント人物を描きこまないというか、人格とかキャラとか、そういうのを作り込まないで、シーン自体の面白さを優先しちゃう人だなと。必ずしも悪いことばかりじゃないんだが、当然破綻するわな。それがパンク的な破綻でないのが残念。では、その「パンク的」とは何よ、という話になると長くなってしまうので、大幅に割愛するが、やはり、刹那感というか。