電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

階級と減量の話

割り込み的に階級や減量の話を。

ストライクフォースでのクリス・サイボーグ選手と赤野選手の一戦が、普段女子には見向きもしてくれないところでも話題にされていて(僻み入ってます、ごめんなさい)、ところがこの話、色々な問題をはらんでいて(例えば、サイボーグサイドが「日本人はどうせやるんだろ」と言った件とか)、主催者サイドの立場にいる自分の中でも答えが出ないことが多くあり、直接的にこの試合についてコメントすることはしない。勿論、契約体重は守るのが当然というか大前提だ。

が、わざわざエントリーを作ったのは、ファンの方々の多くは、試合の契約体重をあまり正確に把握してくれない傾向があるからで、自分が情報を発信する場合には、階級や契約体重のことを、なるべくわかり易く伝えるようにしているつもりなのだが、それでも、なかなか伝わらないなあと思う時が多い。

これは、長年ファンとして女子を見ている人や、関係者と話してみても、そう感じることが多い。例えば選手サイドの関係者でも、自分のところの選手の体重はよく理解しているものの、自分以外のジムの選手のことは、把握してない場合は多い。

当たり前といえば当たり前の話で、階級制がしっかりしている男子の場合、マッチメイクをする側もあまり気にしないのかもしれない。つまり、その選手があまり落とさずその階級にいるのか、激しい減量の上でその階級にいるのかという話は、その選手がその階級以外で試合を行うケースが発生しなければ、ほとんどの場合、問題にならない。が、女子の場合、選手層の薄さから、未だに契約体重で試合を組む必要性は確かにあって、それは選手の試合機会を奪うくらいなら(つまり試合を組めないくらいなら)、契約体重でも試合を組む方がいいんじゃないかというのが前提となるわけだが、そういう必要が生じて初めて、あの選手は少し上ならOKが出るかも、あの選手はもう少しなら落としてもらえるかもという状況が、マッチメイクをする側の頭に入ってくるわけだ。

2002年、スマックガールで最初に出来た階級は、60kg以下のミドル級と、50kg以下のライト級だけだった。しかも、そのふたつの階級に選手を上手く配分する為、50kg強の選手に、60kg以下のミドル級で試合してもらうことも多く、当然、選手サイドからも「厳しい」という声はあがっていたし、あまりに大雑把だった為、さすがにファンからもそういう指摘はあった。

これを、2005年に、-48kgのフライ級、-52kgのライト級、-58kgのミドル級と、それ以上の無差別級という4階級に分けたのは、自分が中心になってやったことだったが、勿論、色々な観点から反対意見(刻み過ぎという意見も、もっと細かくしろという意見も)はあった。また、スマックは、世界的に見ても、ほぼ採用するところがなくなった当日計量を採用し続けた。これは「地方から来る選手の宿代が出せないからだろ」と散々叩かれたものだが、勿論そういう理由もゼロではない。が、さすがにそれよりも、無理な減量をして欲しくない、つまり当日でも辛くない範囲で減量して欲しいというのが第一義だった。

が、時代は、それでもさらに減量する方向に向かっている。専門誌ではハイパーリカバリー的な減量方法が当たり前のように紹介されることも増えた。

ヴァルキリーは、立ち上げるにあたって、米国基準を採用し、上から、-135lbs(←ポンドです)の女子ウェルター(-61.2kg)、-125lbsの女子ライト(-56.7kg)、-115lbsの女子フェザー(-52.2kg)と刻み、この下は、米国基準だと、-105lbs(-47.7kg)で打ち止めなのだが、ここは国内実情にあわせて、さらに細かく2つ刻み、-107lbsの女子バンタム(-48.5kg)、100lbsの女子フライ(-45.4kg)とした。当然ながら、前日計量だ。

国内では、階級に最も早い時期から敏感であった修斗が、60kg(フェザー)、56kg(バンタム)、52kg(フライ)の下に、主に女子用に、48kg(ストロー)、44kg(ミニマム)と刻んでいて、国内の総合格闘技の世界では(いや多分世界でも)、最も細かい刻みだと思うので、それに次ぐ細かさとなる。

どの選手が、どの階級に属しているか、そしてプロモーション毎の階級の違いによって、プロモーションに跨って出場する選手に、どういう化学反応を起こすのか(総合格闘技は早く真に競技化されるべきという観点に立てば、これは決していい話ではないのだけれど)、そのあたりを過去データを見ながら、じっくり眺めてもらうと、かなり面白い筈なんだが。

その為には、プロモーションサイドは、試合を告知時に階級(もしくは契約体重)を明記することが絶対必要で。国内メジャーであっても、契約体重が未だオフィシャルに発表されてない試合が、ごく最近まであったりして(今でもあるかも)、これは圧倒的によくない。ことに海外だと、シャードッグあたりでも階級や契約体重が明記されないケースが多く、過去データを調べていてイラっと来る場合が多い。分からなきゃ楽しめないじゃないか。

さて、ケージフォースとヴァルキリーが今年から採用した「安全計量」という話について触れようと思ったのだけど、長くなった、これは明日にでも。