電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

追憶のストラテジー

自分がソフト屋の世界でフリーランスになった頃(丁度1990年を迎える頃ですな)、時代は、バブルがハジける直前で、それを予想したわけではないんだが、そこから数年間、ひとつの某都市銀系の仕事を、腰を落ち着けてやってしまい、気がつけば、バブルがハジけていて、何もいい思いをすることはなかった代わりに、その後の落ち込みも、自分には影響はなかった。

その頃、使われ始めた「戦略的情報システム」とか「シテテム・インテグレーション」という言葉があって、やがて、ネットの時代になって、いつの間にやら、「SIer」(システム・インテグレーションをSIと略し、それをやる人間の意味)と尊敬と侮蔑の双方を含んだ微妙な言葉を派生しながら、複雑な含蓄を持ち始めた。何故、そうなるのかといえば、その手の新規ワードを持ち出してくるのは、最初は必ず外資のコンサル系であって、そういうところは、実開発は経験不足のまま、巨大な情報系システムの構築に携わり、あっちこっちでデスマーチを奏でながら、コケまくっていたんだが、つまり、エリートさんに対する、尊敬と侮蔑。そういう意味が込められているわけだ。

自分は、どちらかと言えば、未だに、ヘラヘラとコンサルして、アイディアでカネを儲けてるように思われることが多いんだが、長年、下請けの下請けの下請けみたいな仕事を、体力勝負でコナしながら(私学の文科を中退だしね)、「おいおい、またコンサルがコケてるぜ」とか笑っていた、下々の側であり、現場の側であり、それこそ、シンクタンク系のソフトハウスの仕事をすれば「あっちシンクで、ぼくタンク」だったのだ。

アイディアはアイディアであるだけでは、意味を持たず、それを現実にする場合には、往々にして現実にする為に、さらに複数なアイディアが必要になる。当たり前の話なんだが、何の仕事でも、戦略を練る側と、現場で実現させる側、シンクとタンク(?)が両輪にならないと、プロジェクトは上手く進捗しない。