電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

あの曲がり角のところで考えてた

久々(でもないかな)の、カリスマライターネタ。

【Fight&Lifeコラム】May 2nd/高島学

安全問題(特に体重差)からの、スーパーハルクトーナメント批判。相変わらず甘い。端的にいえば、主催者の思う壺というか。

例えば、ボクシング。ヘビー級は190ポンド(86.18kg)以上であり、ワルーエフ等の登場により激しく体重差がある状態の世界タイトル戦などが現実に行われている。体重のククリでいえば、今回最軽量のミノワマン選手が、80キロ台の後半、ボクシングのヘビー級のククリ内で納まってしまう。つまり、全員ヘビー級。チェ・ホンマンノルキアやサップの存在により、事実このくらいの体重差の試合は、K−1では何回も行われている。

【※追記】現在ヘビー級は200ポンド(90.72kg)以上であるというご指摘を受けました。知識が古くてすいません。あえて、そのままにしておきます。

このように、体重差の問題ならば、今回だけの問題ではないし、とりたてて、今回のトーナメント「だけ」が悪いわけではない。為念で書いておけば、アマレスや、MMAでもUFC基準にはヘビー級に上限がある為、ここまでの体重差がある試合は行われない。が、それにしたって、ブロック・レスナーが減量してヘビーの枠に収めているのは知られた話であり、事実、クートゥアーとの試合はかなりの体重差で行われた。つまり、ぼちぼちだよな、という話だ。

では、技量差はどうだろう。ここで最も問題になるのは、カンセコの存在だろう。ところが相手のホンマンはどうだ。MMA戦績3戦1勝2敗の選手であり、しかもその1勝というのは、ボビー・オロゴンだ。技量差というなら、彼がヒョードルとやった時の方が、はるかに危なかったんじゃないのかね。

つまり、今回のスーパーハルクトーナメント、細部をみると、過去に、もっと酷いケースが山ほどあって、これは当然、主催者側が意識してそのあたりに収めているんだろうと思うが、何と言うか、つまり合わせ技一本というか、こういうメンツでトーナメントをすることにより発生する、どうしようもない茶番感が出ているから、高島が釣られてこういうことを書くわけだ。ところが、いざその分析を読むと稚拙なことしか書いてないから、がっくり来てしまうという。

安全問題でいえば、このトーナメント、主催者側は当然その危険度をわかっていて行うわけで、その分だけでも危険性は下がるというのが、まず、前提。本当に危険なのは、主催者も選手もその危険度を理解していないまま、かつ、ちゃんとしたレフェリーもドクターもつかないまま、試合なりスパーが行われることであり、素人同士の草MMAや、マトモな指導者のいない草練習の方が、依然として、はるかに危険だと思う。

勿論、だからと言って、今回のトーナメントに何も問題がないと言っているわけではない。だからこそ、この高島学の稚拙な批判が、もどかしく感じるのだ。まったく本質に届いてなくて。カリスマライターにしてこの程度というか、高島学高島学を演じているだけのステロタイプな文章というか、この批判も含めて、大会の煽りの一環というか。んで、自分がこうして、ネタにしてしまうのも含めて、既にシステムに取り込まれているというか。

加えて、例によって、メタ性に欠ける。批評のベクトルが外にしか向いてない。何というかプレモダンな批評になっている。勉強不足感たっぷり。もう少し本読んだ方がいいと思うよ、本気で。

自分は、格闘技は可能な限り肉体的に差がない状態、
と同時に、技量に差がない状況で行うべきだと信じて疑わない。
それが退屈な試合になろうが――、ビッグ・ビジネスとして受け入れられなくても。

格闘技界は、今のところ、メジャーシーンで大きな事故に遭遇していない。
だから、視聴率のために批判を承知で、
あのようなトーナメントを開くことができるのだろう。
なぜ? 万が一、何かが起こったとき、TVは格闘技を切り捨てればいい。
きっと一般紙やスポーツ新聞の記者さんたちも同じだ。
格闘技以外を扱えばいいだけの話。
だが、格闘技メディア、何よりもファイターたちは、
人生を切り捨てられてしまっては、たまったもんじゃない。
本当にギリギリのところまで来ている。そんなハルク・トーナメントの発表だと思う。

自分は貧乏ながらも格闘技周辺で食えているので、「ビッグビジネスとして受け入れられな」いことが、「ファイターたち」の「人生を切り捨て」ることになる可能性に、まったく気づいてない、あるいは無視している。エゴイズム。

「三番目に大事なもの」

一番大事なものは自分なのよ
その次に大事なものがマスコミで
三番目に大事なものがファイターよ

誰もみんな同じように「体重差はいけないわ」
誰もみんな同じように「技量差はいけないわ」

批判なら何でも構わないわ
友達に見せるために批判はするのよ