電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

放蕩息子の帰還

試合内容と結果云々以上に、主催者側の人間として、色々考えさせることの多かった「修斗伝承 ROAD TO 20th ANNIVERSARY FINAL」。昨今の「何をやってもチケットが動かない」という関係者の悲鳴が色々なところから聞こえてくる状況で、立ち見もギッシリの超満員。当然、熱気も凄かった。特に、五味・中蔵戦の開始前。期待感が地鳴りのように「うおーっ」と響いてくるのを久々に体感した。

JCBホールで面白いのが、掘り下げ型でバルコニーが中央に近い位置にあるから、アリーナの客が近く見えること。何か真上から見下ろしているみたいな感じで(高所恐怖症の自分は怖いくらい)。つまり、客席全体がよく見える。自分は普通に2階のバルコニーを買っていたんだけど、五味勝利の瞬間には、誇張なしにアリーナの客の99%が熱狂して拍手を送っていたように見えた。

自分がファンとして一番熱心に修斗を見ていた時期は、まさに五味が修斗のチャンピオンだった頃で、五味は、ずっと不人気王者と言われ続け、武士道に行った時も、修斗の根っからのファンは、「別にいいんじゃないの」的に、かなり冷ややかだった印象がある。それがどうだ。五味の「帰ってきたぞー!」か、これほど熱狂的に迎えられるとは。

修斗に出ていた頃は、五味より遥かに優等生的に修斗ファンを喜ばす発言をしていた(ゆえに現在ではやや反発されているフシがある)、川尻や青木が、今修斗に出ても、ここまで熱狂が生まれたかどうか。

親に歯向かって、俯いて憎まれ口ばかり叩いていた家出少年・五味隆典の帰還を、しょうがねえなと親が許した瞬間。そんな光景に見えた。勿論、あの頃の修斗の客と、この日の修斗の客が、どこまて被っているのかと言ったら、それは微妙だ。五味が、自分で作ったPRIDEの客を呼んだだけなのかもしれない。けれど、久々に、ここにいてよかったと思える、気持ちのいい空間だったことは確かだ。