電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

概念の単位

格闘技関連のブログでは、結構指摘されているものの、やはり格闘技関連で「上位概念」という言葉の誤用をよくみかける。谷川さんがインタビューとかでよく間違って使う。例えば「ダイナマイトはK−1やDREAMの『上位概念』だから」みたいな感じで。意味は直感的に通じてしまうから、この誤用は定着するかもしれないとも思うが。

では「上位概念」の正しい意味は何なのよというのは、ウィキペディアでも見てねと、不親切に投げ出すが(ごく簡単に書いておけば、「上位概念=包括概念」だ)、では、上記のような場合、どういう言葉を使えばいいのかと考えてみると、これが結構難しい。

前提としては、「概念」にとって上位とは包括することであり、「高級概念」も「上位概念」と同じ意味と辞書にあるからして、つまり「概念」にとって高級なのも、より意味する範囲が広い概念であるということ。まあね、こういう術語は、訳を当てる時に、かなり恣意的に選択されるので、実際のところ、哲学的・言語学的に「概念にとって上位/高級とは、包括することである」とは限らないのだが(面倒くさいので、調べてない。明確に何が正しいのか判断できるほとの英語力がないしね)、少なくとも、この訳語をあてた訳者には、その意識があったということだと思う。つまり、上記谷川さんの例では「概念」という言葉を修飾して使おうとするのが、そもそも間違いであるということ。

では、代わりに使って適切な言葉は何だろう。

ヒエラルキー的に、より上位に位置するもの、例えば「上位階層」という言い方はどうか。直感的に意味は通じるけれど、どうも階層という言葉は、集団の中の個というニュアンスがあるので、今ひとつ馴染まない気もする。

こうやって探していくと、中々いい言葉がみつからない。

だったら「ダイナマイトはK−1やDREAMの『上位概念』だから」は「ダイナマイトはK−1やDREAMより格上だから」と言えばいいのだ。つまり、無理して難しく言おうとすると、ボロが出るから、素直に易しく言った方が間違いがないよという話。こういう間違いって、やたら衒学的に見えちゃうしね。勿論、自戒を込めて。