電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

素晴しく出来がいいCG

仮面ライダーWは、CGが多用され、そこそこ出来がいいと思うんだが、それにしたって「坂の上の雲」のCGの凄さには、ひったまげてしまう。いや、どこまでが(どこからがと言うべきか)CGなのか、わからない。特に昨晩4回目の秋山真之が乗った艦上での戦闘シーンなどは、全編に渡って合成されていると思うんだが、少なくとも、自分が見た地上波映像だと、どこが合成だか、まったくわからない。

NHKの特設サイトを見ると、CGをかなり詳しく解説してくれているんだが、それにしたって、この凄いオープンセット、再現出来ない部分はCGで作ればいいという割り切りが、余計に大胆な構図を生んでいる。サイトで扱われている、秋山真之が新橋駅から出てくるところを、ぐわーっと引いていくカットの凄さといったら。すんげえブルーバック

正直、第4回は、正岡子規が従軍記者として戦争の現実を見て唖然とするとか、秋山真之が自分の命令で部下を失い自信を亡くすとか、やや類型的、否「やや」は大甘か、完全にステロタイプな模写も多く、そういう意味ではイマイチだったところもあったんだが、戦争シーンだけでも圧巻で。

黒澤明は、シェークスピアの「マクベス」を「蜘蛛の巣城」として映画化するにあたり、名科白の「森が動いた」を、今から見ればチンケなアニメまがいな演出で、実際に森を動かしてみせた。「坂の上の雲」のCGを、黒澤に見せたいよなあ。高々地上波のドラマ(の域ははるかに越えているわけだが)で、これが出来る時代が来たんだということを。黒澤が今「蜘蛛の巣城」を撮るんだったら、絶対、精緻な森をCGで描かし動かしてみせたと思う。

当時からすれば、とてつもない予算を使って、砂漠の上にホントに城を建ててしまった「乱」にしたって、あんな不自然な荒野と砂漠ばかりでなく、CGで背景つけて色つけて、城下まで丹念に描いたと思う。

勿論、だからと言って、黒澤映画の価値が落ちるわけではない。が、現代の映像マンは、昔に比べて大きなアドバンテージを持っているわけで、それを生かさない手はない。もっとがんばれという感じだ。「坂の上の雲」は、少なくとも、がんばっている。

なんてことを考えていると、最後は、このドラマにこれだけの予算をつけた奴(まあプロデューサーとOKだしたNHKのお偉いさんだよな)が、一番偉いんではないかと、僻んだ見方になってしまう自分が侘しい。