電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

絶対女王の敗北

大会が終わると、色々感想を頂くわけだが、今回ほど直接にも間接的にも、反響が多いのは初めて。しかも、その反響が好意一色。いい大会だったと。ここまで好評なのは、自分が経験した限りでは、2007年9月のスマックガール、今回ベルトを失った辻結花が、アンナ・ミッシェル・タバレスにリベンジした大会(これが自分がスマックに関った最後の大会なわけだが)以来で、7年で50近く大会を運営してきて、恐らくこの2つだけだと思う。いわゆる神興行。勿論、その賛辞は、選手に向けられるべきだが、運営サイド・スタッフサイドもこの大会に関ったことだけで胸をはれる事実だ。素直に誇りたいと思う。そして、すべての協力してくださった関係者の皆様方に感謝。また助けてください。お願いします。

ヴァルキリー単独としては、今回で4大会目(1回男子との合同大会をやっている)、元々1回目から、試合内容はよく、しかも回を重ねるたびに、どんどんよくなっていくので、ルールや金網の使用、競技重視の価値観、そのあたりに関しては、自信を深めていたものの、特に今回はどの試合も内容がよく、ここまでよくなると、もうこれは、女子だって普通に総合になるとかいうレベルではなく、女子こそ、普通の総合が面白いということだとまで言いたくなる。

とはいえ、2回目3回目は、かなり集客にも苦戦したし(今回はかなり盛り返したのでひと安心)、やはり「この一戦」といえるような象徴的な試合が生まれないと、大会は大会として、適切な意味付けが出来ない。だから、この辻結花・V一(ヴィーはじめ)というチャンピオンシップが行われたことで、初めて、ヴァルキリーはヴァルキリーとして、世間にお披露目できるだけの価値観を、すべて整えることが出来たといえるのかもしれない。

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よく、何で選手のことを書かないのか、メモ8が書くべきはそういうことなんじゃないのかと、ご意見を頂くことが多いんだが、実に実に、選手のことは書きにくい。勿論、悪くは書けないし、もっと面倒くさいのは、誰かをよく書くことは、書かない誰かを相対的に落すことになるというのがあって。つまり、あの選手のことは書いたのに、何故この選手のことは書かないのか、という話になってしまうのだ。だから、一切書かない。男子については書けても(今は、ケージフォースにも関り始めてしまったので、段々書きにくくなるなるだろうけど)、女子については、もう7年も書けないまま。

ここまで、厳密に自分に枷をかけても、そういう拘りは極々少数にしか伝わらないし、それは特に「kamipro」のポッドキャストの件で思い知った。マスコミにすら伝わってないのに、多分、それ以外には伝わってないんだろう。だったら、もういいだろうという気もしている。特にこういう大会の後ならば。

だから、辻結花について、そして、勿論、新チャンピオンになったV一について、書いてみようと思う。そして、書くと決めた以上、自分らしく思い入れを、たっぷり込めて書く。以下、選手・関係者はすべて敬称略とする。お許し願いたい。

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まずは、語弊があるのを承知で書いてみる。辻結花ほど「敗北」が絵になるファイターはいない。

今までたった一度しか負けてないから、そのことをすっかり忘れていた。辻が負けたのは、2003年7月13日の「DEEP 11th IMPACT in OSAKA」。プロモーション側の人間が、この選手のファン、などと言ってはいけないのだが、あえて書くとすれば、きっと自分が辻結花のファンになった瞬間があるとするならば、この一戦だった。

負けた相手は、アンナ・ミッシェル・タバレス。ブラジルの名門、アンドレ・ペデネイラス率いるノバウニオンの選手だ。当時の発表の表記はアンナ・ミッシェル・ダンテス。ちなみに、スマックで2007年の9月、アンナの表記を何故タバレスに変えたのかについて、簡単に書いておく。アンナは、このDEEPが総合デビュー戦で、以降、数戦しているが、何故か海外サイトでの表記は、ずっとタバレスだった。自分は結婚でもして名前が変わったのかと思っていたが、そうではなかった。スマックガールに来た時のビザ取得時に彼女のパスポートに記載されているフルネームを知って納得した。フルネームが、アンナ・ミッシェル・タバレス・ダンテスであったのだ。なので、海外サイトでの表記では、タバレスが使われ、初来日の時「DEEP」は、ダンテスを使ったと。で、2007年の再日時は、海外の表記に準じたという話。

などと、小ネタも挟みながら、続く。