電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

知識のずれが諍いを生む

もう30年近く前になる話だと思うんだが、何故か未だにその光景が焼きついて離れない話。

吉野家だったか松屋だったか、いわゆるそういう店で、自分が飯を食っていると、隣に後から入ってきたお兄ちゃんがご飯大盛りを頼んだんだが、出できた大盛りの飯が、すりきりで結構余裕があるのを見て(つまり、ぱっと見は大盛りに見えない)、まずは振り絞るように「……ええっ? これが大盛り?」と呟いてから、ゴネ始めた。

「もう少し大盛りにしてくれませんか?」「……これが大盛りですが」「そんなこと言わずにもう少し」「……」。

店の兄ちゃんもぽかーんとしていた。当時のその店は(多分、吉祥寺の南口にあった松屋だ、そこまで思い出した)、大盛りは、丼自体が通常盛りの丼とは違っていて、確かに、それは大して大盛りであるようには見えないのだが、明らかに大盛りなのである。ゴネ兄ちゃんは、丼自体の大きさが違っていることに気付かず、盛りが少ないことに文句を付けているわけだし、店兄ちゃんは、何で大盛りの丼でちゃんと出しているのにゴネられているのかが、よくわからない。2人の話は食い違うばかり。

かなり前の話であって、オチがどうなったかは、もう忘れてしまった。ただ、その行き違いの結果、いたたまれなくような空気がそこに漂い始め、そのことだけが、強烈に記憶に残っている。

が、こういう話って、未だによくある。なので、人に何かを説明する時は、丁寧に説明するようにしているのだが、そうすると、今度はクドいとか言われることが多い。昔は「長尾は説明が上手い」と褒められることも多かったんだが、最近はクドくてウザい親父扱いされることばかりだ。だけれど、クドいと文句言う子の隣は、そこまで説明しても、まだわかってないだろうことが、表情から推測出来たりする子がいる。まあ、しょうがないよな。