電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

リスクについて考えてみよう

最近、保守派の論客として、比較的いい評価を見る事が多い中島岳志。著作とかを真剣に読んだ事があるわけじゃないので、風評判断だけど。

「保守派の私が原発に反対してきた理由 - 中島岳志」

 自動車も飛行機も、確かにリスクのある存在です。しかし、原発のリスクはそれらをはるかに上回ります。一旦事故が起こると(事故の規模にもよりますが)、相当程度の国土が汚染され、人間が中長期間にわたって住むことができなくなります。また、周囲はかなり広範囲にわたって放射能の危険にさらされ続け、水や食品に影響が出続けます。長い年月をかけて構成されてきた歴史的景観、人間の営み、農地の土壌。そういったものを一気に放棄しなければならない事態が生じてしまいます。直接的な被害だけでなく、その不安や精神的圧迫感なども考慮すると、そのリスクはあまりにも大きすぎるというのが実情でしょう。少なくとも、原発事故はこの国土を手間隙かけて整備し、守ってきた無名の先祖に対する冒涜であり、歴史を無礙にする暴挙です。

保守派を自認する人間が、反原発を言い出す事は、原発を止める事を考えるなら、このタイミングで一番必要であるような気がするので、もっとやれもっと書けと思う。内容もまったく同意します。

ところが、これに早速噛み付いているのが、震災以降、峠の山道をドリフト走行でかっ飛ばしまくる池田信夫センセ。もう、走り出したら止まりません。止まりませんったら。

「自動車や石油火力は原発より危険である」

しかしリスク評価に必要なのは絶対値である。発癌性で考えても、タバコを1日1〜9本吸い続けることによる生涯のリスクは、3.4シーベルト原発作業員の被曝限度の14倍である。あなたが原発を恐れるなら、まずタバコをやめたほうがいい。

必要なのは絶対値と書いておいて、煙草のリスクを書いているんだが、いきなりシーベルトの数値が提出されて、なんだなんだと参考URLに飛んでみると、その根拠の数字がこの箇所。

原爆被爆者でのリスク推計からは、3.4Svが等価な値じゃ。

あのーこれって典型的な相対値じゃないでしょうか(爆笑)。ひょっとして、このセンセは、数字にさえなっていれば、それは絶対値と思っているのではと、迫りくる放射能並みの恐怖を感じてしまう。

事故死者の数値が、原発より、火力(主に採掘時の事故)やクルマが遥かに大きいのは確かだろうし、火力はへえ未だそんなに死んでるんだと思うものの、勿論、クルマの方は誰でも知っている。

が、中島岳志は、それ以外、土壌汚染から、精神的圧迫感まで含めて、リスクとしているにも関わらず、死者発生リスクに限定して、しかも絶対値といいながら、いきなり放射線量を測る単位であるシーベルトを持ち出す池田センセ(苦笑)。もう自慢の愛車がリアをすべらせ過ぎて、あっちこっちにぶつかりまくってボコボコだよ。

あれだよな、自分のような愛煙家で、アンチ嫌煙ファシストな人間は、煙草の害が言われると、それに対抗して、クルマの例を出すことはよくあるので、こういう論理はわからなくはない(おれはやらないけどね)。

ただ、クルマだ煙草だなんて、原発に比べれば目クソ鼻クソでさ。受動喫煙の問題はあるものの、煙草の煙が大気汚染に繋がっているというデータは今のところあまりないし、要はマナーさえ守れば、後は自己責任。安全に歩行していたつもりが、ひき逃げされてしまいましたという話だってありえるクルマより、よほど受動被害は少ない(最近ではこれすら否定しようとファシストどもが変なデータをでっち上げる事も多いが)。

そのクルマの場合だって、仕事でどうしても利用せざるを得ない人だって多いけれど、それにしたって基本は自己責任な場合がほとんどだろう。

ところが、原発の方は、被害の多くが受動被害である事で。自己責任で回避できないわけである。しかも、自分だけの問題じゃないんだよ。日本という国が、いや世界が、今まさに汚れていこうとしているわけだ。そのリスクたるやどんだけなんだよという話であって。

とは言え、同じ峠の山道ドリフトキングでも、腐臭しかしない上杉隆(またツイッターで少しやったので、興味ある方はそっち見てね)に比較すると、何か壮大なネタを撒き散らしているだけに見えてしまう愛嬌を、池田センセに感じてしまうのは何故だろうな。その辺のブロガーに必死に圧力かけてるとか、余裕のなさが可愛いというか。