電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

時をかける中年

日曜の夜、「JIN -仁-」の完結編の初回を観た。現代の外科医が、幕末にタイムスリップし、ああなったりこうなったりするという話。

自分はこのドラマ、原作の村上もとかのマンガが完結した事、テレビはマトメ再放送を昨年末にやる事、シーズン2を4月からやる事などを知って、昨年12月にマンガから読んだ。単行本、実はその時点では最終の20巻がまだ発売されておらず、それに気付かず読み始めてしまい、げげっ早かった失敗したと思ったものの(今年2月に無事発売して完結)、年末のマトメ再放送を見たら、前作のシーズン1は、原作の半分位までの所だった。

原作もテレビドラマも実に面白かった。が、原作は、村上もとかは手練であるし、物足りない部分がゼロなわけでもなく(何でもかんでも「ドクン」は如何なものかとか)、勿論、相当な良作だとは思うんだが、むしろ褒めたくなるのは、テレビドラマの方。いや最近のテレビドラマなんて、NHK大河しか観てないので、他と比較してないからよく分からないのだが、何しろホンが上手い。原作の再構成の仕方もバツグンだし、オリジナルな部分も上手い。そして勿論、制作にそこそこカネがかかっていて、ツクリが丁寧。

今回の初回特別編も上手かった。原作のいくつかの逸話を時系列を上手く分解し、2時間超のドラマに再構成する手腕が見事。

前作以上に、NHK大河にあてつけるようなキャストがまたいい。今回から登場した西郷隆盛役の藤本隆宏は、「坂の上の雲」から見事に太っていたし(ゴッドファーザーマーロン・ブランドみたいにふくみ綿はしてるような感じだったが)、今年のNHK大河にゲスト的に明智光秀役で登場していた市村正親が、やはり初回オンリーゲストで佐久間象山を演って印象的な好演。初回には出てないものの、中岡慎太郎市川亀治郎が演るそうで、坂本龍馬内野聖陽とは、「風林火山」で武田信玄山本勘助コンビ。さらには、同じく「風林火山」で印象的なヘボ演技を見せた佐藤隆太も重要な役で登場してる。

今年の大河の「江」が、今のところ「篤姫」ほどは盛り上がらず、かなり寂しい出来なので、益々出来のよさが目立つという感じ。NHK、震災後の報道では株を上げたという説があるが(自分はあまりそう思わないんだが)、大河ドラマのここ数年の体たらく、もう少しがんばって欲しいと思うわ。民放でも、未だここまでのドラマが作れるんだから。

さて「仁」のこれからだが、前シリーズで、これは上手いなあと思った、ドラマオリジナルの中谷美紀の二役。前シリーズの時点では原作も完結してなかったので(原作のタイムパラドックスの解決はややイマイチで終わってる)、つまり、最終的なオチは何も考えられてなかった筈なのだ。これの扱いがどうなるのか、ここが最大のポイント。小説だと、タイムパラドックスの解決って、緻密さが勝負になると思うんだが、テレビドラマや映画だと、やはりダイナミズムが重要。よく考えるとおかしい内容でも、映像の説得力で乗り切れる可能性も高い。映像の力ってそういうもんだ。久々に民放ドラマをちゃんと観る気満々。