電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

あのハゲの名は、ダナ・ホワイト 埼玉死闘篇

「UFC144」「UFC JAPAN」総括の続き。そもそもタイトルが複数存在しているところからしてダメだよな。というわけで、前回はこちら

それにしたって、4千円パンフのクオリティ、異様に低かったよねえ。いいとこは宣伝が少ない事くらいで(というのはファンにとってであって、決していい事ばかりではない)、あとは、写真ダメ(というか素材は悪くなくとも処理がダメ)、日本語のDTPもさっぱりダメ。つまり、デザインスキル不足の安いとこを叩いて仕事させてるか(こと日本語の扱いだけなら、素人のおれの方がはるかに上なレベル)、自前のボンクラにDTPさせてオンデマンド入稿してる。同人誌並み。オフィシャルサイトで半額以下で売ってるあんなもんを、これからも4千円も払って読ませられるわけである。UFCの場合、アメリカ基準、アメリカだってこうなんだからと言い訳して、国内ファンの声が届く事は、恐らくない。

これだけで、もうUFCが日本定着する事のデメリットを象徴的に表現できたんではないか。当たり前のビジネスにおいて、ある商品が寡占化・独占化されれば、それがどんなに優れていたとしても、デメリットも発生していくわけだ。それと同じ。そして国内からは、現在のUFCに対抗できる存在は、恐らくここ数年というタームでは生まれない(と控え目な表現にしておく)。アップルに対抗できそうなのは、グーグルのみ、いいとこマイクロソフトフェイスブックまでなのと一緒だね。SONYPanasonicも太刀打ち出来ないんである。

例えば、ジャッジ問題。ジャッジがおかしい事ではなく、その責任の所在はどこにあるのか、いい加減はっきりしろよという。アメリカ国内なら、アスレチック・コミッションの法的拘束力があるのは分るが、国外大会では、そんなのあるわけない。にも係らず、ダナは「ジャッジは自分の担当じゃない」と逃げて、そのまま逃がしてしまうマスコミの不甲斐なさ。未だライトなファンに限らずマニア層やら選手サイドまでが、UFCは競技化されているとか、間違った認識をしているが、そんな事は全然ないんである(という事については昔散々書いた)。それにしたって、最近FOXがついた事で、却って競技化はさらに増すベクトルにあるように見えるところが面白い。勝手にランキングとか見せ始めたもんな。日本とは逆だ。この辺は数字と合理性を尊ぶアメリカの国民性(数字を分り易く見せてやらないと何も理解できない馬鹿っぷりとも)としか言いようがないんだが。

いい加減、ちゃんと真っ当に突っ込めるマスコミ出でよと言いたくもなるが、ゴマすってタカれば飯食わせてもらえて、厳しく批判すれば取材拒否だと怯えて、笹原さんに嫌われたと泣くわ、記者席はLAN完備で至れり尽くせりと喜こぶわ、そういう国内のファッキン・マスコミには何も期待出来ない。専門マスコミなんて、そういう構造になっているんだがら、しょうがないだろという話なんだが、かと言って、立場の弱い選手サイドには、やたら偉そうに突っ込み入れるのが腹立つよな。高島学とか高島学とか高島学とか。だから、もう少し松山がんばれ。キミがやれば出来る子なのかは、ホントは全然知らないが。

と、上杉隆記者クラブ批判並みのブレなさで、国内専門マスコミのファッキンぶりに憤ってしまうわけだが、今頃あのパンフのクオリティやら、グッズ売場の充実しなさを見て、ウチならもっといい仕事が出来る、よおし売り込んでやるうと腕ぶしてるところが山ほどある筈で、ところが、どこに売り込んでいいものか、さっぱりわからない。だはは、ざまあみろとまでは言わないが、UFCが日本に定着するという事は、そういう事なんである。つまり、国内の総合格闘技興行に関する経済構造、あえて言うなら利権構造が、ガラっと変わるわけだ(当たり前の経済行為は利権とは言わないので「あえて」扱い)。ここは、メリット・デメリット双方あって、単に、そういうものだという指摘。

極々私的な思いとしては、3年早いんではないかなという気がしないでもない。もっと国内が徹底的に壊れてからの方が、良いモノが出来ていくんではないかという。まあ、これは分らない。もう頃合なのかもしれない。

自分が実際に見聞した例を参考意見として書いておく。貧民席の後ろの方、周りはPRIDEのそれと何ら変わらなかった(PRIDEは10万円席から一番安い席まで全部実際に自分で見てる)。ライトなライトなファン。いやファンですらないのかも。「It's time」も言えない(知らない)人達。別にそれが悪いと言っているんじゃない。何時の間にか、PRIDEファンはコアなマニアばかりという事になっているが、そんな事は全然なかったのは、実際に客席にいた人間には周知の事実。コアなマニアが全体の2割もいれば、会場の空気は変わってくる。引きずられるのだ(これ後楽園規模で選手応援団でも特にやる側・やる側に極近い人間が全体の2割いればまったく空気が変わるのと同じ)。ところが、その影響力は後ろの方には届かない。実際「パワーホール」が流れた途端、貧民席の上空には巨大なクエスチョンマークが浮かんでいたし、それは「PRIDEのテーマ」ですら一緒なんである(勿論、メインの頃には疲れきって寝てる客多し)。大量に来ていた米軍の心ない野次を含めたノリのよさに引きずられるのは、いいとこ1万円席まで。興行なんてそんなもん。そう言ってしまえばその通りであるんだが、つまり水物なんであって、初物目当ての客(はイコールである客層と結びつける事が出来る)が如何に多かったかという事であって、勿論、そういう、とりあえず1回行ってみるかという客をどれだけ引き込めるかという事が、メジャー興行のミソでもある。

本当にこのままUFCの国内興行は定着するのか。実はここが一番読みが面白くなるところで。満員になった、招待券も出回らなかった(ここはUFCサイドが五月蝿いらしい)、熱もかなり上がった、おまけに、ダナはまた来ると言った。少なくとも、次だけなら多分ある。継続的・定期的に来てくれる確率は、大会前まではいいとこ3割程度だと思っていたが、もう少し上がったと考えていい。ここまでは間違いない。

だけどねえ。随分と国内の各所(対抗団体という意味じゃないよ)から悲鳴が聞えてきている事も確かなのだ。まさに独占化の弊害が。ここは昔取った杵柄のインサイダー情報入手と取ってもらって構わない。だから詳細は書かない。しかもその弊害が、過去のUFCのやり方を見ている限りでは、今後もあまり変わらないだろう事が予想されて。つまりUFCサイドが来る気満々でも、受け入れ側がその気にならなければ興行は成立しないわけだ。加えて、恐らく旗揚げ(というか初物)観戦はご祝儀込みという風潮が日本にある事をダナもフェティータも知らないし、ダナも絶賛、大好評な女性通訳さんでも(戦極でもやってた人らしい)、このニュアンスを的確には説明出来ない。それ以上に今回は……いや何の根拠もないので、ここまでにしておこう。とにかく、まだまだ予断は許さない状況である事だけは、断言しておく。勿論、日本の総合格闘技の未来を考えるなら、定着してくれた方が間違いなく良い。これも断言。

おいおい、メモ8はっきり書けよ、お前はどっちを望んでいるんだと言われたら、どっちでもいいよそんなの、おれはただの引篭もりの傍観者、今や総合格闘技ファンであるかすら怪しいと答えておく。傍観者だからこそ、好き勝手に言いたい放題出来るのだ。