電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

イチローの安打数は知ってる癖に

さだまさしが歌にした、監督としてはさっぱりらしい高田の、現役時代の背番号は8番だ。レフトからサードにコンバートされ、成功した当時が、江川の全盛期と並んで、自分がプロ野球を真剣に観ていた時期でもある。

シュートボクシングの「Girls S-CUP」があった日、会場の赤坂のホテルの中をウロウロしていたら、タイガースの選手がユニフォームを着て、これからまさに試合に出かけるという風情でゾロゾロ歩いているところに出くわした。今調べてみると、29日はスワローズ戦を神宮でやっているから、東京の常宿がここなんだろう。結構、若い背番号の選手をみかけたが、ひとりも名前がわからなかった。巨人の選手にしたって同じことで、街で坂本に会ってもわからない(小笠原や阿部ならかろうじてわかる。タイガースだったら金本ならわかる)。

けれど、イチローの打率は知っている。宮里藍が今期は勝ちまくっていることも知っている。テニスだったら、錦織をニシコリと読む位は知っている。

繰り返し書いていることだが、自分は地上波を観ないので、テレビのスポーツニュースも観ない。スポーツ新聞も読まない。けれど、ネットはヘビーユーザーだ。そんな自分が最近ツイッターを通して、格闘技などにはまったく興味のない人、いやあるとしても、いわゆるライト層(?)よりさらにライトな方々と話してみると、昔と同じように、プロレスと総合とキックの区別がついてない人が多く、いやそういう人がおかしいと言う気など、これっぽっちもないのだ、それが世間なのだと思い、今、総合格闘技の関係者が、何かを基本からやり直すことがあるとするならば、そういうところからなのではあるまいか。

プロレスと総合とキックの区別がついてない人でも、往々にして、ボクシングと柔道の区別はついているわけだし、テニスとバトミントンが違うこと位知っている。サッカーのルールはよくわからないと言いながら、ラクビーとの違いくらいは見た目で判断する。が、総合格闘技というジャンルは、まだそういうレベルまで行ってないわけだ。

格闘技の世界においても、ネット(というよりツイッターユーストリーム)を通して、マニア向けのコンテンツは益々充実の一途だが、今必要なのは、そういうマニアに向けたコンテンツではなく、いやむしろマニアに向けたコンテンツを充実させればさせるほど、そのジャンルのマニア比率が上がるだけで、外への訴求力は削られるばかりという気がしてしまう。

5年くらい前に、コミックマーケットはあれだけの集客力を持つのだから、マニアのみを相手にしていても、そのマニアの数自体を増やす方法さえあれば、それでいいのではないかと考えていたことがあって、それはまだメガインディーなんて言葉が生まれる前のことだったんだが、やはりその頃の自分の考えは、結果として失敗しただけあって、根本的に間違っていたとしか思えない。

具体的に、今、総合関係者は何から始めるべきなのかと言ったら、次の興行のチケットを1枚でも多く売ることに手一杯で、結局何にも手がつかないという状態であり、だったら、思い切って興行など止めてしまった方が時間やカネも作れるのではないかという、あまり美しくない結論しか出ないのであった。