電脳如是我聞の逆襲

他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者たちの神だ

ゼロ年代映画ベストテン

「男の魂に火をつけろ!」さんの“映画ゼロ年代ベストテン”という企画に、自分も参加させてもらいます。毎年楽しい企画ありがとうございます。http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20091108

1.「下妻物語」2004年、中島哲也監督
2.「亀は意外と早く泳ぐ」2005年、三木聡監督
3.「リンダ リンダ リンダ」2005年、山下敦弘監督
4.「紀子の食卓」2005年、園子温監督
5.「転々」2007年、三木聡監督
6.「Dolls」2002年、北野武監督
7.「ロスト・イン・トランスレーション」2003年、ソフィア・コッポラ監督
8.「シカゴ」2002年、ロブ・マーシャル監督
9.「チャリーズ・エンジェル・フルスロットル」2003年、マックG監督
10.「バトルフィールド・アース」2000年、ロジャー・クリスチャン監督

この数年は、自分の人生においても比較的映画を熱心に観た期間なんだが、古い映画ばかり観ていて、新しい映画は、あまり観ていない。ゼロ年代と言われると、洋画は30本くらいしか観てないかも。一方、邦画の方は、まあまあ観ているので、どうしても邦画中心の選択になってしまう。

新しい映画は、まだ再見していないモノが多くて、自分の中で評価が定着してない作品が多いから、順位をつけるのも難しいんだが、上の5本のうち、4位以外は、既に3回以上は観ている。

1位の「下妻物語」は自分の中では抜けた1本かも。そろそろ、オールタイムベストのベスト10でも入れたくなるくらい好き。とにかく、このあまりに不自然な情景をまったく不自然に見せない深田恭子の演技の突き抜け方が凄い。そういや、中島哲也の新作まだ観てないんだよな。

2位と5位に三木監督の2本。この2本、共にギャグなんだが味が違う。前者はスラップスティック、後者はほのぼの。だから、1本に絞れなかった。「亀は意外と〜」は全編ギャグで構成しているのに、何故か観た後は、爽やかな青春冒険ストーリーを観たような気にさせてくれる突き抜け方が好き。「転々」の方は、最初はオダギリ・ジョー演じる若い主人公に感情移入して観ているんだが、途中から、冴えない、おっちゃんの三浦友和に感情が入ちゃってさ。いやはや歳だ。小泉今日子の演技を初めて上手いと思った。あっ、三木監督の新作もまだ観てないや。

   

   

3位の「リンダ〜」は、ペ・ドゥナの演技が冴えまくる学園青春モノ。監督個人としては、この山下敦弘が自分の中では一番の期待株。この監督はマニア受けする初期の脱力モノより、これとか、くらもちふさこの原作を映画化した「天然コケッコー」とかの方がいいと思う。要は、商業映画系に行っても潰れなそうな演出を見せてくれるんだよね。そういや、ペ・ドゥナの新作(おっぱい)、まだ観てない。

4位の「紀子の食卓」は問題作。宮台真司が「戦後ベスト3に入る」とか、おめーそんなにいっぱい映画観てんのかよと、突っ込みたくなるようなマヌケな褒め方を、思わずしてしまった映画。自分も、観て、ががーんとなって、この監督初見だったもので、片っ端から映像集めたものの(ほとんど揃ってしまった)、まだ1本も見てないし、この映画も見直す気がしない。何と言うか、自分の中で「ゆきゆきて、神軍」的な位置になってしまった衝撃作。

邦画だと、後は、「アヒルと鴨のコインロッカー」か、「時をかける少女」(アニメの方)が次点候補。前者は、商業映画に行って多少鈍り始めた感がある中村義洋の最高傑作か。後者は、アニメもたまには見ないとなと、新海誠とかとまとめて観た中で、これが一番よかった。ああこの人の新作も、まだ観てないや。ヱヴァも2本目観てないし。

で、世界のキタノの「Dolls」。キタノ全作品の中でも3番目くらいに好き。ゼロ年代のキタノを全部並べてみると、「TAKESHIS'」「監督・ばんざい!」以外は「BROTHER」も「座頭市」も好き。「アキレスと亀」はちょっとアザとい感じがしたが嫌いではない。けれど、やはり「Dolls」が抜けていると思う。まあ、これも少しアザといとこあるけどさ。

   

   

そうそう「TAKESHIS'」といえば、あの有名な世界3大がっかりおっぱいの1本だが、残りの2本、「ジョゼと虎と魚たち」も「さよならみどりちゃん」も、おっぱい含め、まったく、がっかりしなかったのだが、「ジョゼ〜」は暗すぎて好みじゃないので、同じ悲惨なストーリーでも「さよなら〜」の方が、とりわけ、がっかりしなかったことを記しておく。

   

   

で、とってつけたように、下に4本並べた洋画。「ロスト・イン〜」は、渋谷のカラオケ屋で、ビル・マーレイエルビス・コステロニック・ロウと言うべきかな?)を歌うんだ。もうこのシーンだけでOKな映画。とにかく渋い。ビル・マーレイといえば、ジム・ジャームッシュが久々にマトモの映画を撮った「ブロークン・フラワーズ」でも、やたら渋くて、全編退屈なこと以外は素晴しかった。

「シカゴ」は若い頃見たら、死ぬほど影響受けただろうと思った、スタイリッシュなミュージカル。正面きって誉めるのは、ちょっと恥かしい感じもあるんだが、ここまでスタイリッシュだと、もういいや誉めちゃえ誉めちゃえ。

 

 

あとは洋画といえば、テリー・ギリアムの「ローズ・イン・タイドランド」あたりが、この手の企画だと入れたくなるような不気味な映画なんだが、この監督の90年代の傑作群に比べちゃうと、やっぱりなあということで、次点にとどめておく。

で、残りの2本はラジー賞受賞作。が、「チャーリーズ・エンジェル」は1本目も2本目も、普通にいいと思うんだよな。同時に観たので、ややゴッチャになっているんだが、よりアホに振り切った2本目の方が、当時の感想ノートを見ると、圧倒的に好きと書いているから、ここでもこっちをあげておく。

で、最後が「バトルフィールド・アース」。ラジー賞において、最低作品賞・最低監督賞・最低主演賞・最低脚本賞を独占し、その上、歴代最低ドラマ作品賞なんて特別表彰されてしまったいわくつきのSF超大作。が、カルト映画マニアなら必見だと思うよ。大作過ぎて、子供どころか、畜生も騙せないくらい凄い。

   

   

以上、難しいそうだと思ったわりには、すんなり選べてしまったのであった。


※【2009.11.16追記】アマゾンリンク入れたが、しかし邦画は高いねえ。しみじみそう思う。と、シコシコ作業していたら、洋画でも「バトルフィールド・アース」だけは、ひったまげるほど高かった。新品は6千円! 中古で400円代だけど(苦笑)。さすが、サイエントロジー